2月27日

朝6時、すっかり耳にこびりついてしまったスマホのアラームが鳴る。平日の朝、冬のこの時間帯はまだ薄暗い。5分おきに鳴るスヌーズ、できることなら布団から抜け出したくないといつも思う。TwitterのTLをざっくり眺めて、まだまだ眠っていたい頭のまま、惰性…

忘れかけているもの

社会人1年目の夏からずっと、人生が社会に追いつけない感覚を抱えている。いつかそんな感覚も通り越して、諦めがついたのなら大人として働ける日が来るのだと信じていたけれど、三つ子の魂百までではないが、そんな私の子供じみた怠慢と甘えは何年社会人をや…

いつか薄れてしまっても

信じられないけれど今年ももうあと残すところ数日で、駆け足で過ぎ去ってゆく一年の早さを改めて実感するなどしている。 年内最後の出勤だった今朝、地下鉄のホームから地上に出て見える東京タワーはいつもよりからりとした朱色に見えて、今日まで眠って起き…

泡沫と永遠

新しい街での暮らしを始めて最初の夏が来た。職場の最寄り駅まわりは意外にも緑が多くて、最近はどこか近くの木でセミが鳴いている。鳴き声からしてあれはミンミンゼミだろうと思う。地元ではアブラゼミの大合唱が毎夏ものすごくて、外に出ると聴覚から体力…

片道切符で漕ぎ出して

なんだか唐突に春が来てしまったらしい。「らしい」などと他人事のような表現をするのはあまりにも唐突だったからで、現実が通り過ぎていく速度があまりにも早すぎて未だに実感が湧かないからだ。今年は桜の開花が例年より早いしついでに散り始めるのも早そ…

まだ見ぬ景色を脳裏に描いて

何度目になるのかそろそろわからなくなってきたが、今日も退勤後ひとりで入ったトイレの個室で声を殺して泣いた。昨年の同じ頃も同じトイレの個室で泣いたことがあったが、あの頃から私の中で何かが成長しただとか前進しただとか、そういうまぶしい変化は果…

開かれない遺書

いま仕上げたい文章が同時にいくつも存在していて、どこに記そうとしていることも全部私の内面で間違いないんだけれど、書こうとしていることが全く違う内容やテーマだから、本当の私はどこにもいなくて、今見ているものや感じているものももしかしたら全部…

紛い物の春

誰にも自分のことを知られたくなくて、何度も何度もSNSのアカウントを作り替える癖がある。友人がこの現象を「垢爆破」と呼んでいたから、私もそれに倣ってそう呼ぶことにしている。垢爆破。私の人生も丸ごと爆破できたならどれほど痛快だろう。最近は寝ても…

怪物

一時的な感傷だと思いたいけれど、もう何をしても意味がないのかもしれないと思ってしまっている。これ以上生きていたって意味がない。 数年前から常に希死念慮を抱いたまま生きている。キシネンリョ。一発で変換させてくれないこのノートパソコンも、「ヘル…

軽薄で欠如した生

しばらく日々の記録を付けていなかったなと思ったから、久しぶりに日記を書いてみることにした。改めて言葉の意味を確認したくて「日記とは」と検索したら、「毎日の出来事や感想などを書いた記録。日誌。」と出て、数日分どころか数週間、数ヶ月単位の出来…

彼方の惑星

髪の右側ばかりが跳ねるのも、胃の調子が悪いのも、そう簡単には変化してくれないのに、取り巻く環境や人々の境遇は簡単に変化していくような気がしている。ここ数日間は気分の乱高下が激しくて、生きていたのかそうじゃなかったのか、わからない心地で毎朝…

帰ってもいい場所

このままでは浴槽で泣きじゃくってしまうような気がしたから、fineのNever-ending Stage!!!!を聴いている。以前、ALKALOIDのBelieve 4 leavesの話もしたが、つらく寂しい気持ちをなだめてほしいときは、fineの音楽を聴くことが多い。6月に見に行ったライブで…

どこか知らない海

海に行きたいと言い出してから、そろそろ2年になる。港町で育ったわけでも、海が無い県の生まれでもないけれど、いつからか私の胸の中には「帰るべき海」という概念が存在していて、だから波が寄せる音を聴いたり海の出てくる物語を見聞きしたとき、そこがき…

冒険譚は迷いから始まり幸福へ至る旅

サブスクのお気に入りリストというのは、そのとき何を考えていたか・何を好きだったか・どんな気持ちだったかを思い出させてくれる手がかりのように思う。 リストをたびたび編集して作り替えていくのが私のやり方なのだけれど、昼ご飯を食べ終えてなんとなく…

生きていると実感するための

唐突に思いついたアイデアを実行に移すとき、普段感じることのない高揚感が胸に宿る心地がする。生きながら死んでいるのが日常なら、私にとって正しく生きていると数えられる日は1年に何日もないのかもしれない。生きている実感を得るために、この休日はパン…

自分の脚で

2年前、何も大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをして笑うことが常だった。人気の少ない20時のカップラーメン売り場は張り裂けそうになる胸を自由にするには最適で、高く積まれた商品もしくは派手な立体ポップのうしろで私は声を殺して泣いていた。人が来たら目…

灰色の隙間を割る光だ

思い返せば灰色の空、曇り空を写真に撮ったことはこれまでなかったように思う。夕焼け、夕暮れ、藍色に染まった街。いろいろな空は撮ってきて、その中に雲はたしかに存在していたけれど、雲を主役にした空を美しいと思えたことがないのがその原因な気がする…

あの日見ていた景色を

もうなんにもわからないけれど、これを書き始める5分ほど前、どこかに行ってしまいたいと強く思った。割といつもそういうことを考えている頭だけれど、今日はいちだんとその気持ちが強くて、もし仮に私の身体が家を持たない野良猫だったら、この21時の夜へ簡…

透明になるのは居場所ではなくて

思い返せば中学生の頃には既に、自分が周りからどう思われているかが気になって仕方なかったと記憶している。生活班のメンバーの印象を書き出してみよう、という授業を受けた記憶があって、それは確か中学1年次の出来事だったと思う。中学1年生の私は、同じ…

不出来を優しさで着飾ること

いま、人生でいちばん髪の色が明るい。顎の辺りで切り揃えられたボブ、アーモンドにもミルクティーにも見える色。一度もブリーチの経験がない髪でもここまで明るくなれるのだと知った。 髪を初めて茶色に染めたとき、これでようやく生まれ変われるような気が…

静かに諦めることを

貰ったお菓子が美味しかったとき、社会につなげてもらっているんだなと実感を得る。三が日は駆け足で過ぎ去って、いつも通りの日々が呼吸を始めた。今年に入って初めての雨が降った今日、最高気温も恐らく今季最低を記録している。予報だと7度。上空の気温が…

ゆるやかな暗さの中で

具合が悪いような気がして病院へかかる癖がある。覚えている最初の記憶は小学生の頃、夜寝ていたら胸が苦しくなったときのこと。深夜、隣で寝ている母を起こして「お母さん、胸が苦しい」と訴えた。母は迷わず車を走らせて夜間救急へ連れて行ってくれた。何…

くたびれた木曜日でさえ

知らない街の地下鉄に揺られながら、(今住んでいる場所から逃げてここに引っ越してアパートを借りてスーパーやコンビニや職場に通うようになったら、また私はどこか遠くへ行きたいと思うんだろうな)と考えた。私が私として生きている限り、有象無象になっ…

光り

夢の中でしか行くことのできない本屋さんがあって、今日は久しぶりにそこへ行くことができた。日の当たらない建物の中を、螺旋階段を使ってゆっくりと上っていく。階段も壁も色はやわらかなベージュで、ここに大きな窓があってそこから西日が差し込んだらき…

誰でもいいから助けてと願ったあの日の

職場でひとりにされてしまうことの心細さを知っている。仕事帰りに美容院で前髪を切ってもらっていた。17時過ぎの店内には私ともう一人のお客さん、さらに電話の向こうのお客さん。絶対大変だと思う。それらを全部自分だけで対応する美容師さんを見ているこ…

海底で息ができたら

灰色に沈んだ街は冷たい雨が降っていて、車の走る音がいつもより聞こえないような気がしていた。先週まで30度近くあった気温はあっという間に下がって、ここ数日は最低気温が15度を下回る日もある。あんなに秋が来るのを待ち望んでいたのに、いざ寒くなって…

週のおわりに

そういえばこれまでの人生で誰かに花を贈ったことってないなと思った。可愛いお菓子も入浴剤も手紙もあげられるけれど、花をあげるのはちょっと勇気が要ると思ってしまうのはもしかしたら私だけじゃないかもしれない。卒業式の学生の胸にも白い病室の片隅に…

アンドロイドだから知らない

家でスマホを眺めていたら、父親に赤ちゃんの写真を見せられた。親戚のお兄ちゃんに女の子が生まれたらしい。 私が怠惰をやっている横でみんな大人になっていく。普通に生きていくことは難しい。仕事は慣れないし生き方がわからないし、人の心もわからない。…

ひとり

ひとりぼっちの家の中でテレビを見ていた。誰もいないから今夜ここは私だけのパーティ会場で、誰にも見られないのをいいことに画面の向こうから流れる電波ソングに合わせて一緒に歌った。パーティ会場どころかライブ会場だ。観客も出演者もぜんぶ私。 一方で…

オレンジ色のベーグル

仕事帰り、いつもなら真っ直ぐバスターミナルに向かうところを寄り道してベーグルを買った。寄り道したと言うか、明日のお昼ご飯の調達のためだった。社員食堂があるからそれを使えばいいんだけど、万が一食べきれなかった時に残されてしまうご飯を見るのが…